あの子はいま…
冬になると、時々思い出すあの子…
息子の関係で学校に行くことが多かった
同じクラスのSくん
両親が聴覚障がい者で彼が長男、ひとつ下に弟、さらに妹が三人いた
まだ小学校三年生なのに生まれたばかりの妹のお守りをさせられていた…
親は耳が聞こえないので赤ちゃんが夜泣きしても起きない
彼が夜中起きて面倒をみる
当然授業中は居眠りばかり…
先生も家庭の事情を知っていて無理に起こさなかった
運動会の時、先生に頼まれて一緒にお昼を食べた
彼の持ってきたお昼はぺちゃんこの菓子パンと水…
余りにひどいので、家で作って行ったお寿司とか唐揚げとか食べさせた
むさぶるように食べていた
「持って帰ってもいいですか?」と言ったので何かあっても困るので、「ここで沢山食べて行きなさい」と言った
冬なのに上はジャンパーを着ていたが下はハーフパンツ…
北海道の冬は半端なく寒いのに…
親に何も言えなかったのだろうか
暴力も受けていたと思う…
完全なネグレクトだ
五人も子供を生んでほったらかし
Sくんの親に無性に腹がたった…
ある日事件がおきた
彼が行方不明になったのだ
八方探して見つかったところは札幌駅だった
どうやって行ったのか?まさか歩いては行かないだろう、交通費を持っていたのか?
しばらくして、先生がSくんは親戚の家に行きました…それ以上は聞かないでくださいと生徒たちに言ったとのことだった
多分施設に預けられたのだろう…
弟と二人…
子供には罪がないのに
困難な状況に置かれている子供たちが増えている
お年寄りも大切だけど…
国はもっと未来の宝に投資してほしい
日本の明るい未来がみえてこない
子供と若者に投資することは、ローリスク、ハイリターンだと思うのだが…